9月12日(土)田町 投稿者:
関戸光賀 投稿日:2026/09/12(Sat) 22:12
No.7790
今日の稽古では新人の方が多かったので、ごく基本的な動きを中心に指導いたしました。
私も初心者の頃に戻ったつもりで、「最初の頃は、どのあたりが難しかっただろうか」などと考えながら、左月を行いました。
左月は、座技で左へ転身しながら抜刀する技です。
ところが、あまりにも初心に帰りすぎたのか、横一文字に抜くという、無外流居合兵道の「左」の動きをやってしまいました。
理合には共通するところがありますが、初動において、横一文字に抜き付けるのか、腹抜きによって相手を制するのかという違いがあります。
左から来る敵を察して迎え撃つには、いかに素早く相手を制するかが重要です。
そのため居想無外流の左月では、無駄の少ない腹抜きを使います。
刀を正中線上で取り、右拳をその場に置いたまま左へ転身する。
身体が左へ向きを変えることで、左手は自然に鞘引きの動きとなり、それだけですでに刀は鞘から抜けています。
転身が終わったところで右拳を前へ出せば、剣先はそのまま相手の眼前に現れます。
つまり、右手で刀を「抜こう」とする必要はありません。
身体が転じ、鞘が引かれ、その結果として刀が抜ける。
そして最後に右拳をわずかに進める。
最小の動きで相手を制する、非常に合理的な動きです。
ところが今日は、それを横一文字に「抜いていく」という二拍子の動きをしてしまいました。
言い訳をすれば、あまりにも初心者だった頃のことを考えながら稽古していたため、身体まで昔の形に戻ってしまった、ということでしょうか。
もっとも、自分で間違えてみると、かえって腹抜きの合理性がよく分かります。
初心者の方を見ていると、速く抜こうとするほど、どうしても右手で刀を引き出そうとしてしまいます。
しかし、技を速くするために必要なのは、手を速く動かすことではありません。
身体の転身、鞘引き、抜刀がひとつの動きとしてつながれば、無理に速く動こうとしなくても、結果として技は速くなります。
「速く動く」のではなく、「余計な動きをなくす」。
これは左月に限らず、居合の基本となる考え方のひとつです。
新人の方を指導するつもりで始めた基本稽古でしたが、今日は私自身も、あらためて基本を確認させてもらう稽古となりました。